夏休み
忘れられない思い出
小学校入学当時のはなし。
自分でいうのもなんだが、田舎の中ではちょっとした神童扱いされてた時期があった。(らしい)
というのも自分では意識したことなかったが、大人から見たら、"しっかりした子供"という程度のものであったのだと今は認識している。
そんな自分は、こういっては失礼だが、一般的にちょっとした問題児、"ちびまる子ちゃんに出てくる山田"のような男の子Nくんと、不思議とウマがあった。
Nくんは、夏休みの工作で、割ばしをえんぴつ削りで削り、先をマジックで塗って鉛筆をつくり、提出する少し変わった人物であった。
側から見たらおそらく、かなり奇妙な組み合わせであっただろうが、2人でよく遊んでいた。
そんなある日、家の裏の砂利で、2人で綺麗な石を探そうということになり、学校から帰ると何時間も2人で砂利を眺めている日があった。
夕方、必死に探したが、なかなか見つからなかった。
今日はもうダメか。。と思ったとき、N君が叫んだ。
「トルコ石だっっ!」
彼がいうには、表面が、つやつやな真っ白なその石は、トルコ石という石らしい。聞いたことのない、そんな貴重な石がこんなところに!
空も飛べるというのだ。
そんな貴重な石をNくんは私に手渡し、カッコよく去っていった。
必死に探した甲斐があって、私は"トルコ石"を手に入れた。
もちろんそれはトルコ石なんかではなく、ただの石であった。
しっかり、その歳で詐欺にあったのだ。
しかし、なんらかの見返りを求めるわけでもないNくんは、がっかりしていたあたしを不憫に思ったのか、きっと彼の優しさであったのだと、いまは思っている。
ただの綺麗な石は、しばらく机の中の宝物になった。